2012-10-02から1日間の記事一覧

雅雲すくね「民衆食堂百万年」―連載〈蛸親爺〉第9回

裏町の短い商店街、民衆食堂と墨で大書きにした暖簾の下では、木枠の入口に曇りガラスをはめ込んで、一枚には仮名で『めし』、一枚には真名で『酒』と派手に書いてある。両脇には大小の植木が鉢も見えぬほどに寄せて置かれているのが、夕日影を受け赤く染ま…