渡邉大輔「映像圏の「公共性」へ」―連載〈イメージの進行形〉最終回・後篇

 それでは、以上のような現代社会における「対抗的公共圏」や「生存のためのサンディカ」の可能性を、冒頭のVPF問題も含めた現代の映像圏システムにおいていかなる形で生み出していくべきだろうか。これは、やはり途方もない問いだというべきだし、また、そのための方途も無数にありうるだろう。とはいえ、ここまでの本論の長い考察を踏まえるならば、それは私たちにとって半ば必然的に、――かつてハーバーマスが一八世紀ヨーロッパの文芸ジャーナリズムの出現に「公共性の構造転換」を見て取ったように――さしあたり種々の映像メディアや映像系ソーシャルメディアを介して技術的かつ社会的に組み立てられ、あるいは企てられる、新たな「公共性の構造転換」として描き出されるのが望ましいだろう。
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渡邉大輔(わたなべ・だいすけ)
映画研究者・批評家。日本大学芸術学部非常勤講師。専攻は日本映画史。共著に『探偵小説のクリティカル・ターン』『社会は存在しない』『サブカルチャー戦争』(以上、南雲堂)、『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)、『floating view  郊外からうまれるアート』(トポフィル)、『日本映画史叢書15 日本映画の誕生』(森話社)。新刊共著『見えない殺人カード 本格短編ベスト・セレクション』(講談社文庫)が発売。
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